毛呂山町へ移住 60からは平屋で暮らす 2022.05竣工

1年経過のご訪問2023.5.18

お引き渡し後1年が経過いたしました。

建具の調整など承りましたが1年なので特に不具合もなく、もう少し引き違い窓回りを暖かくしたいというご要望で、今ある障子を袋張りにすることになりました。

障子は普通片側だけに紙を張りますが、両面に貼ると動きにくい空気層が間にできるため断熱効果が高まります。

自然な感じをテーマにしたお庭がいい感じになり、念願だった家庭菜園も楽しんで、郊外へ移住した目的を着々と実行されていました。

またの訪問が楽しみです。

 

去年の写真が上で今年が下です。

 

郊外で畑を楽しむ60からの小さな平屋をご依頼いただきました。

土地から求められシンプルな平屋をご依頼されました。

 

外観も至ってシンプル

ドローンで見ても切妻屋根のシンプルさがよくわかります。

黒いパネルは太陽光パネルです。

できるだけエネルギーは自前で賄います。

 

南には川があり、夏の南風も少しは和らぎます、郊外の緑が多いエリアですので都市部より日が沈めば過ごしやすくなります。

断熱性能を高め、機械設備に極力頼らないパッシブなつくりです。

 

庭も家庭菜園を楽しむ予定です。庭木も食べられる実がなる樹木をたくさん植えました、外壁の木部とともに経年変化を味わえる月日を重ね楽しめる住まいができたと思います。

 

 


60からは次のライフステージも考える。

家は引き継がれるだけの価値のあるものにしたい。

ここに暮らせなくなったとき、

身体条件が変わったとき、

よりよい条件で貸せるか、売れるか。

一般的な住宅の査定価格とは違う、この家ならぜひ住みたい、と言っていただけるような、負債にならない価値のある家にしたおきたい。

例えば程度の良い古民家は古くてもよい値段で取引されます。

要は「価値のある住まい」なのです。

小さいからこそ、無駄なく、勝手よく、心地よく。

空間の広い狭いの感じ方は床の面積だけではありません。

構造を現しにすることで窮屈な感じもなくなり、すっと背筋が伸びるそんな空間になります。

また構造が見えるということはつくりても丁寧でなければなりません。

普通にある素材もより丁寧に扱うことで質の高い空間になると思います。

室内も屋根の形そのままの天井です。

主要な構造材も室内に表します。

個人的な思いですが住まいを支える構造材が見えると安心感が増すと思うのです。

整理された構造架構もまた見た目にも美しいものだと思います。

木材はほぼすべて近くのときがわ町で調達できました、その木材を今回は大工さんの手刻みでくみ上げています。

 

壁はセルフビルドで塗られた西洋漆喰です。

内装的にも至ってシンプル、木材と漆喰と和紙それだけです。

 


木材は地域材なので杉と桧のみです。

障子やガラスなどちゃんとした素材は質感がありよいものです。

 

構造的に金物も使いますができるだけ見えないように使うようにしています。

加工の段階から大工さんとの意思の疎通が重要になりますので近い価値観の大工さんや職人の協力が必要です。

 


わずかな快適さを楽しむ

パッシブな考え方が大事

設備に頼る家のつくり方が普及したおかげで、お日様を入れる工夫、遮る工夫が忘れられています。

冬は無料のいエネルギーですからたくさん入れたい。

夏は快適に過ごすためにできるだけ入れたくない。

エアコンや暖房器具は無くてはならない設備ですが、昔からの工夫(建物の向き、風の流れ、軒の出)に間違いはないのです。

そこにはほんの僅かかもしれないけれど自然の快適さがあります。

そんなことが感じれれる住まいにしたいと思います。

エネルギー

私たちは今、好むと好まざるとにかかわらず大きなエネルギーシフトの中に放り込まれてしまいました。

子供たちのこどもの時代に何を残すのか真剣に考えなければなりません。

住まいは環境から切り離して考えることはできません。

家から排出するCO2の量を減らしたり、ごみを減らしたり、自然エネルギーを取り入れることが今後ますます大切になってきます。

 

少しでも自然エネルギーが使える工夫と少しでもエネルギーを使わない工夫を私たちはしていかなくてはなりません。

 

この家で使う電気はほぼ自給できます。

昼は余剰を売電し、夜間は購入しています。

太陽光設備がほぼ10年間で減価償却できるレベルです。

端正であるということ

住まいがシンプルであれば住む人の感性や感覚が現れてきます。

出来るだけ付け足すものが無い端正な姿を目指しています。

端正でシンプルであるということはミニマムやチープとは違い洗練され落ち着けるものであると思います。

そして少しすっと背筋が伸びる。

目指しているのは価値のある住まいです。

価値ある住まいは今の暮らしが豊かになるばかりではなく、引き継ぎ、賃貸、売却において将来の暮らしにプラスになると考えています。

素材 知恵 工夫 今そこにあるんものを活かす。

素材は「こなれたものを使う」を旨としています。

こなれたものとは、昔から使われてきたもの、こなれた素材は良くも悪くも経年変化が読める。

昔から使われてきた素材に間違いはないのです。

淘汰された素材は星の数ほどあります。

住まいと暮らしに関して、時計の針を少し戻して未来に負担を掛けない工法や素材を選択したいです。

 

時には暮らしに関して食や衣なども含め、昔から伝わる気候風土に適した知恵や工夫を見直し、「今そこにあるものを活かす」という昔ながらのつくり方考え方を家づくりにつなげていきたい。

価値ある住まいをつくるため住まいを建てる方とはそのようなお話もたくさんして家づくりにつなげていきたいと考えています。

夜帰ってくると玄関先がとてもきれい、という奥様のお言葉から夜景を撮影していただきました。

確かにきれいでした。

よい住まいが提供できたのではないかと思います。

 

ありがとうございました。


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