断熱で決定的に大切なこと

外断熱・内断熱工法の違いで優劣はない

ペットボトルリサイクルポリエステル断熱
ペットボトルリサイクルポリエステル断熱

 寒い時期,家づくりの質問をいただくとどうしても断熱のお話が多くなります。

 

断熱の質問をするくらいですから皆さん断熱が大切なことは十分理解されています。

よくよくお話を聞いてみると誤解されている方が多いように感じます。

住宅展示場で説明を受けたとか、よく聞くからとか、CMからの知識なのか、そのような影響なのかと思いますが、「外断熱」が優れているとお思いの方が多いように感じます。

 

 壁の中で断熱することを「充填断熱」または「内断熱」などといいます。

それに対して壁の外で板状の断熱素材を張る工法を「外断熱」または「外張り断熱」といいます。

これは工法の違いであり、断熱に関してどちらが優れているということではないのです。

 

 

 

 

 


断熱材の本質は熱を伝えるのを遅らせるということ

木の繊維断熱材
木の繊維断熱材

断熱材の目的は住まいを冷やしたり、暖めたりすることではなく、外気の熱の影響が室内に伝わる時間を遅らせることです。

 

 真空素材でもない限り熱を伝えないことは無いのです、真空であっても輻射で熱は伝わりますが、どれだけ熱の伝わりを遅らせることができるか、例えばどんなに優れた断熱性能であっても少しずつ熱は伝わり、やがては内と外の温度は平衡状態になります。

 

 熱を伝えやすい鉄板のフライパンであってもコンロの上で火にかけても直後であれば手で触れます。やがて熱が伝わり触れることもできなくなります。

フライパンは触れられなくてもその上に置いたお肉はお肉の断熱性でしばらくは触れます。

 

 断熱材も同じなのです。目的は熱を伝える時間を遅らせること、朝7時の気温が例えば20度で室内も20度であったとします。

 外気温はどんどん上がり14時には30℃になりました。気温というのは夏の日本では1400頃がピークで徐々に下がります。

 外気温が伝わりにくい断熱材を使えば外気温と平衡状態になる以前に外気温が下がってくれる、朝7時から徐々に熱が断熱材を伝わり室温が25度まで上がったけれどそのときが14時であればもうそれ以上室温は上がらないという考えです。

断熱材の性能が高ければこれが22度かもしれないし、室内まで熱が伝わりきらず20度のままかもしれません。

 

 また、寒いときは熱が外に伝わる時間を遅らせることで、室内を暖かく保ちます。

しかしながら暑いときも寒いときも無暖房、無冷房でいればやがては外気と平衡になります、時間の問題なのです。

 断熱材で大切なのは「外断熱」「内断熱」ではなく、断熱素材の性能、特に大切なのはその「厚み」と「伝導率」熱を伝えにくい素材を厚く使うことなのです。

いくら性能の良い「熱伝導率」の小さな素材を使っても薄すぎてはだめなのです。


厚みは熱の伝わりを遅らせるポイント

ウール断熱
ウール断熱

一般的に使われる断熱素材の熱伝導率です。

鉱物素材(無機質・ガラス繊維など)

(製造にかかるエネルギー中)

一般のグラスウール
10kg/m³
0.050W/m・k
16kg/m³
0.045W/m・k
24kg/m³
0.038W/m・k
32kg/m³
0.036W/m・k
高性能グラスウール
16kg/m³
0.038W/m・k
24kg/m³
0.036W/m・k
32kg/m³
0.035W/m・k
40kg/m³
0.034W/m・k
48kg/m³
0.033W/m・k

石油由来の化学素材(ウレタン・スチロール・フェノールフォームなど)

(製造にかかるエネルギー大)

A種押出法
ポリスチレンフォーム
保温板
スタイロエース(3種)
0.028W/m・k
2種
0.034W/m・k
1種
0.040W/m・k
建築物断熱用吹付け
硬質ウレタンフォーム
アイシネン
0.035W/m・k
A種1・A種2
0.034W/m・k
A種3
0.040W/m・k
A種フェノールフォーム
保温板
ネオマフォーム
0.020W/m・k
1種1号・1種2号
0.022W/m・k

自然素材系(木・紙・羊毛など)

 セルロースファイバ
25kg/m³
0.040W/m・k
45-55kg/m
0.034W/m・k
 ウッドファイバー 
40kg/m³  
0.040W/m・k
   

 ウールピュアウール

 リサイクルウール

 
0.040W/m・k
 
0.040~0.044 W/m・k

この他に沢山の断熱素材があります。

外張り断熱でよくつかわれるフェノールフォームという板状の高性能素材があります。

数値では0.022 W/m・k

 自然素材系の断熱材である、セルロースやウールの性能は0.0380.04W/m・k程度なので熱の伝わりにくさとしては倍近い性能があります。

 数値だけを比べたら自然素材は圧倒的に性能の低い素材となりますが、外断熱で使われる板上の素材はほぼ30mm程度、無理して使っても50mm、外壁に張り付ける意という意味で施工上厚すぎると垂れ下がりなどの問題が出て来るので、より厚いものを使おうとすると施工上の問題が出てくるのです。

 

 充填断熱で私が最近よく使うセルロースはフェノールフォームの性能値の約半分の性能ですが、壁の中に充填するので通常問題なく120mmまで入れることができます。

充填断熱にも欠点があり、筋交いや補足材などで壁厚が薄くなってしまうことがあります。

 

それぞれの欠点もありますが、まずは比較してみます。

単純にフェノールフォーム30mm とセルロース120mmの熱の伝わる時間が試算してみます。

 

  ◎フェノールフォーム30mm 熱伝導率0.022W/mk(熱伝導率:1時あたりどれだけ熱が伝わるか)=大きいと熱が伝わりやすい。

熱が伝わる時間

 0.03/0.022W/mk1.3636 60進法に直すと≒1時間22

 

 窓の性能やいろいろなことが住まいの断熱には関わりますが単純に素材の暑さで検討すると1時間22分で30mmの外断熱用フェノールフォームは室内に熱を伝えるということ。

 

 

 ◎約半分の性能のセルロース120mm 熱伝導率0.04 W/mk

熱が伝わる時間

 0.12/0.040W/mk3.00 60進法に直すと≒3時間

 

3時間でセルロース120mmは室内に熱を伝えます。

 

 断熱には窓の性能やいろいろなことが関わりますが単純に素材の厚さで検討するとこのような結果になります。

 素材としての性能も確かに重要なポイントだけれども決定的に大切なことは厚みを持たせるということ、いくら性能が高い素材でも薄くてはすぐに熱が伝わる。

 

「外断熱」「内断熱・充填断熱」それぞれ良い部分悪い部分があり工法の違いで性能を比較するのは断熱の観点では間違いです。

 

ポイントは工法に惑わされない。

 素材の性能に惑わされない。

 断熱性能で決定的に大切なのはその厚みをもたせることなのです。


歩いて5分でこのロケーションです。

川の近くという不安は少しあるけれど、川と共に生きていきます。

 

東京都北区からの移住です。

ご主人は有機農業を学ぶために1年前から週末小川町生活をしています。

定年後の移住と考えてきましたが、昨今の働き方の変化で通勤に融通が利くようになり、計画よりも早く移り住むことになりました。

 

自然エネルギーを利用しながら自立循環型の住まいを目指します。

極力自然エネルギーを使いながらも快適性や利便性も向上させ、暮らしのエネルギー消費を抑えていきます。

自然エネルギーのポテンシャルと省エネ機器を注意深く組み合わせてまいります。

 


2025.4 基礎工事が始まりました。

配筋工事といいます。

後からは見えなくなってしまう工事です。

間違っていても基礎を壊さない限り治すことができない工事です。

なのでこの段階で慎重に検査を行います。

 上端の3本は上端主筋で13mm主に引張に耐えます。中央部はあまり応力が作用せず、鉄筋を整える程度で10mm1本、スラブ配筋としつ土間高さに13mmを1本、下端主筋に13mmを3本、立ち上がりは溶接しないのでフックを付けて上端主筋を抑えます。
木造基礎でフックをつけると梁巾が150程度なので精度良くしないと被りが不足することがあり、注意が必要です。
この鉄筋屋さんはわかっていて斜め方向にフックをつけています。
正しい加工方法です。

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