オーガニックな住いの今後

 

 スーパーに買い物に行くと生産者の顔が見えるオーガニックな食材や野菜などが増えました。

このようなことはここ10年ほどの事ではないかと感じています。

 

 「少し値段が高くても安全でおいしい物が食べたい」という消費者のニーズから生まれた仕組みです。

私が生まれる少し前ぐらい、高度成長期が始まり、生活では利便性や合理性が求められ、食糧においても大量生産の仕組みや農薬の有効利用が考えられ、衣類においても合成繊維が当たり前になりました。

 

 住いにおいても手間がかかる自然素材は敬遠されました。

 

 考えてみれば「衣・食・住」という暮らしのもとから自然素材が消えてしまったのです。

その弊害がどこにどれだけあり、今後どのような影響があるのか私には判りませんが、化学物質だらけの暮らしに疑問を持ちそこから抜け出したいと考える人が増えてきたとも感じています。

 

 オーガニックな素材を求める人たちは特別なものを求めるのではなく「簡素な普通の物」を求めているのだと感じています。

見せかけのブランドや姿かたちよりも、「素材の安心感やちゃんとしたもの」の良さに気が付き始めた人が増えているのでしょう。

 

住まいに使う素材もよりナチュラルで生産者の顔が見えるオーガニックものを使っていきたいと考えています。


素材の本質を見極める

 

 物の本質を見極めるにはそれなりの知識と経験が必要ですが、本当に必要なものを丁寧に選んでいくとおのずとその価値に気が付きます。

 

住いに使う素材では、いわゆる自然素材、「無垢の木や漆喰・和紙・石」などはメンテが必要であったり、経年変化が嫌われたりした結果、合理性や利便性を第一に考えた家づくりでは敬遠されてきました。

 

 企業として家をつくる会社が業績を伸ばすに従い、クレームの対象になりやすい自然素材はリスク発生部材として使われなくなり、かつては地域の自然素材を扱っていた地場の工務店でさえそれに倣うようになりました。

 

 食の分野に比べると住の分野ではまだまだ生産者側の意識が低いのが現状です。

 

それは生産者側だけの問題では無く、そのような素材を要求してこない住まい手側の知識不足もあります。

土壁や土間、風が抜ける切り妻屋根など、日本に暮らすために快適な手法も忘れられている考え方の一つです。

 

 昔と同じにつくるべきだということではなく、日本の気候風土に適したつくり方を見直し、安心できるよりよい素材を現代の技術でつくることが大切です。

 

 


 また建物を建てる土地の風向きや日当たりを最大限に生かしたつくり方をパッシブなつくり方といいます。

 

出来るだけ自然のエネルギーを有効に使い省エネに努める、簡単にできる工夫もあります。

お日さま・風・雨 を上手に使い少しだけ快適に暮らしたいですね。

 

近年はエネルギーの問題がクローズアップされています。

積極的にお日さまの光を電気に変えたりお湯に変えたりアクティブな要素も組み合わせ、残り少ない化石エネルギーは子供たちのその子供の未来に残して上げられればいいなと思います。

 

2023年もパッシブ学習会を開催する予定です。

年間4回程度開催いたしますので是非ご参加ください。

 

 


2・薄味な暮らし につづく

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