10・家庭内の事故  スリッパを履かない家

スリッパを履かない家のススメ

家庭内の事故

 

 

 今時の住宅で敷居の段差やトイレの段差などがある家は一般的にはありません。

いわゆるバリアフリーという考えが定着してきたからであり、家庭内も確かに障害が減ってきました。

 

 段差は段差で意図して付ける限りは障害とはならず、却って段差があるがために暮らしやすい仕掛けもあります。

 

 家庭内のバリアーが減ったとはいえまだまだ家庭内事故は起きています。

浴室の溺死が最も多く、そのほかにも脚立からの転倒、座布団、電気コードのつまづき、新聞や雑誌に滑り転倒、手すりが付いているにもかかわらず階段からの転倒も多く報告されています。

 

 不安定な脚立の使用や、無駄な配線、雑詩の放置など確かに直接的な原因はあろうと思いますが、それらの事故が防げない原因を考えてみると意外なことに思い当たります。

 

 

 

 

 

スリッパをはくのは床が冷たいから

 いつ頃からか日本人はスリッパを履くようになり、当たり前のようにどこの家にも置かれています。

思うに安っぽいフローリングや、ビニール床の出現と同時に普及したものだと思われます。

 

 木に見える合板のフローリングは、極限まで薄くスライスした木をべニアに接着剤で貼ったもので、もはや木としての特質は持ち合わせていませんからやけに冷えるのです。

それは床下断熱を十分に施しても変わることはありません。

 空気層を持たない樹脂やべニアの表面は足底の体温をどんどん奪い、そのためスリッパを履かないとすごせないのです。

また、夏は夏で湿気を吸収しないのでペタペタと足裏に不快感がありやはりスリッパを履くことになります。

 

 グリップの効かないスリッパを履いていたが故に防げなかった事故は意外に多いのではないかと考えています。

 

 冷たい床はスリッパの他にもマットや、カーペットが必要になり、それらにつまづいたり滑ったりしてさらに事故が起こる原因となります。

 

 多くの日本人は床は冷たいものであり、素足ではすごせない。と信じているようです。

 杉の床板にしてみてください。厚さは30mm以上か15mmの2重張りです。

一年中素足というわけにはいかないかもしれませんが、冬でもスリッパに至らず厚手の靴下、スリッパのお世話になるにしてもかなり短い期間で済むはずです。

 

 床が暖かくなれば、家庭内事故で多い脳卒中も減るのではないかと思います。

 

 バリアフリーはスリッパを使わない床からなのです。


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