1:屋根について考えること 

屋根には基本がある

坂戸の家屋根通気工法ガルバ仕上げ
坂戸の家屋根通気工法ガルバ仕上げ

坂戸市 B/storage 長期優良認定 埼玉県CO2認定

屋根:ガルバリウム鋼板 通気層45mm 野地板:杉  遮熱シート:デユポン

   断熱:ウッドファイバー200mm  樋:ガルバリウム半丸

 

住宅の屋根について考えること 1

 

 

 アーキクラフトが設計させていただく住宅の屋根の基本は三角の切妻屋根を基本としながら法規制に適合する形状を選択しています。

また、屋根材に適した屋根勾配を確保しながらも風が抜けやすい形状を考えています。

 

 最近は住宅雑詩や広告で陸屋根(ほぼ水平な屋根)の家が最近よく登場します。

 

 実際に建っている家も見かけるようになりました。

都会的イメージ・ビル的イメージでモダンデザインと言うことのようです。

以前は陸屋根(屋根勾配の少ない平らに近い屋根)というとRC造の建物の屋根の定番で(学校とかマンションなど)アスファルト防水で仕上げる屋根構造です。

 

 木造住宅で陸屋根は防水技術や防水素材が改良され信頼性が増したからと言って安易に採用すべきではありません。

この屋根で本当に大丈夫なの?

と設計者に聞いてみたくなるような形状が街中で見受けられるようになりました。

とくに建売系の分譲住宅で多いように感じます。

 

 「他と違うデザイン・目を引くデザイン」ということで差別化を目指しているのだと思います。さらに軒の出も無くコストを押さえられる。

という売り手側に都合の良い形態でもあるのだと思います。

 

 

 日本の木造住宅に限り過去より陸屋根が主流になったことはありません。日本だけでは無く、雨が多く降る国の木造住宅で屋根が平らに近いというのはまずありえない、雨は素早く流すものなのですから。

 

 世界的に見ても平らな屋根の住宅というと、アフリカの乾燥地帯に日干し煉瓦で造られた住まいや雨の少ない地方で石積みやレンガ積みの住宅で、ある程度の雨漏りは仕方がない考えられている地域に見られるくらいです。

ヨーロッパの石積み住宅でさえ屋根は木造の勾配屋根です。

 

防水工法が進化したとはいえ、昔からのシンプルな形(切妻などのこう配屋根)は理にかなっています。

 


ガルバリウム縦ハゼ
ガルバリウム縦ハゼ

ガルバリウム 0.4mm 縦ハゼ

屋根勾配はしっかり取る。

 木造住宅はコンクリート造のように全体が一つの塊となった剛構造ではなく、柔らかく動く柔構造と言えます。

 

 地震はもちろんのこと風や温湿度の変化でも微妙に動いているものです。その動いていている建物の屋根には動きに追従できる屋根工法(防水工法)が必要なのです。

短期間持てばよいのではなく永いあいだ追従性能を持たせないといけません。

しかも屋根は出来るだけメンテナンスを少なくしたい部位で有ることも確かです。

 

 陸屋根の屋根材を見るとFRP防水や、ステンレス防水が主流のようです。確かに防水はできます。

FRPやステンレスはその材料自体の寿命も耐久性もあります。特にステンレスの耐久性は鋼板の中でも最高度ですが素材だけ耐久性が高くても雨漏れは防ぎきれません。

 

 屋根勾配が小さいということは水の流れもゆっくりになります。

特に近年ではゲリラ豪雨など予想もつかない大量の雨が降る可能性が多くなっています。ビルのデザインのようにパラペットといって壁を立ち上げ屋根を観えないようにした形態では、大量の雨がドレン(雨樋)に吐き切れず屋根がプール状態になる可能性もあります。


基本形を大切にする


 通常の雨でもドレン(樋)が落ち葉などで詰まることもあります。

樋が詰まっていることに気が付くのは大抵雨漏りという事故が発生した後です。

長い年月少しずつ漏れているのに気が付かず気が付いたときには壁の中が腐っていたということも考えられます。


 また、屋根のこう配が緩いと台風など風を伴う雨では水が勾配を逆流し、壁際に水が押し寄せ、想定外の部位から雨が侵入することもあるのです。

 

 このように考えてくるとスタイルを優先するあまり生活リスクをしょってしまっているように思います。

もちろんそのことを理解していれば個人の自由ですが、末永く使う住まいであれば過去に倣いスタンダードを見直すことも大切なことです。

 

 

屋根の形態を考えるうえで大切な事 ポイント


 流れはできるだけ単純にする。

 屋根のメンテナンス頻度は最小限におさえる工夫。

 必要十分な勾配を取る。

 雨樋はメンテナンスが必要。

 


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