建築的に地震へ備えるということ  2012/11.19

 東日本大震災の復興住宅建設の遅れが今日の新聞に出ていました。海山が近く平地が少ない地域性にも原因があるようです。

 

 地震は大きく分けて二通りのタイプに分類できるそうです。

東日本大震災は「プレート移動型」地震と言われ、マントル対流の影響により海底面に圧力がかかり、断層面で沈み込むことによりおこります。

 

 もう一つが阪神淡路大震災のような、「断層型」地震と呼ばれるようです。

 

 「プレート移動型」は比較的周期が掴みやすいと言われますが、「断層型」はいつ発生するか予測もできないようです。

もっとも東日本大震災では周期的と言われるタイプでさえ全く予想もつかなかつたのですから、地震予知は不可能なことなのではないかと言われています。

 

 今、最も危険性が高いと言われているのは、東海・東南海・南海のプレート移動型地震です。

 

 この場所は100150年周期で大きな地震が起きています。南海地震は、昭和21年に発生し、およそ70年経過しました。東海は安政元年・1854年に発生し、158年たちます。

周期的には何時起きてもおかしくない周期に入っています。

 

建築的に見てもこの二つの地震のタイプでは被害状況が異なります。

 

 「プレート移動型」は「断層型」に比べ影響範囲が大きくなりますが揺れの周期が大きく比較的建物被害は少なくなるようです。

 

 事実気象庁のデータでは東日本大震災のマグニチュードは9.1・重力加速度は2000ガル、阪神淡路大震災ではマグニチュード7.6・加速度880ガルで地震規模としては東日本が大きくなっていますが、建物の倒壊は阪神淡路のほうが圧倒的に多く、死亡原因も建物倒壊によるものか倒壊後の火災によるものとなっています。

 

 

 もちろん人口密集度、建物密集度が違うことは当然ですが、その状況を差し置いても地震タイプの違いによる建物被害状況の差は顕著なのです。

 

建物のゆれ方で、建築的に近年注目されているのが「カイン」という単位です。

 

 聞きなれない言葉だと思いますが、カインとは一秒間に何センチ移動するかを現した単位で、1カイン=1cm毎秒(1cm/sec)となり、同じ重力加速度・マグニチュードでもそのゆれ方の特徴で大きく違ってきます。

 

規模的に大きかった東日本大震災のカインは80カイン、阪神淡路大震災では200カインと言われます。

 

 私たちが暮らす一般的な木造住宅から中層の建物まではカインの大きさに比例して被害が大きくなり、超高層のような揺れの周期が長い建物はカインが小さなプレート型に弱いと言われています。

 

 どんな地震にも十分な備えと言うのは不可能ではないかと思いますが、できるだけの安全は担保しておきたいものです。基準法レベルだ良しとせず、最低でもその1.25倍(耐震等級2)を確保することをお勧めしています。

 

そのためにかかる費用は意外に少ないものです。

 

 まだまだ構造計算を行い安全を担保しようとする工務店・ビルダーは少ないようです。

性能表示や長期優良住宅の耐震等級取得が全住宅の20%に満たない現状が現しています。

 

 大工さん・工務店の長年の勘による材料選定や構造的な考えも確かに侮れないものがあります、経験と勘に構造計算による根拠を加えることが安心につながります。

 

既存建物の耐震診断から新築建物の構造計算までお問い合わせ、ご相談お受けしています。

 

 

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