耐震等級を取得するメリットは?

耐震等級を取得するメリットは?

 耐震等級という言葉、家を建てようと思ったら一度は聞いたことがあると思います。

無いとしたらそれはまだ勉強不足です、も少し勉強して見ることをお勧めいたします。

 

 2001年に品確法性能表示制度(住まいを性能で評価しよう)という趣旨で始まった等級制度で、温熱や維持管理などにも等級があります、今回は耐震等級についてお話しします。

 この制度はあくまで任意ですので一般的かといえばそうでもありません。このような制度に意識の高い工務店や設計者、ハウスメーカ―などが取り組んでいます。

耐震等級を取得することは性能表示制度での審査を経て認定を受けるということになります。

 

耐震等級は1. 2. 3 まで

3等級が一番上で4とか5というのはありません。

 

〇 1等級 はすべての建物がクリアーしなければいけない建築基準法で定められたレベルです。

〇 耐震等級2 1等級基準法レベルの 1.25倍の耐震性

〇 耐震等級3 1等級基準法レベルの 1.50倍の耐震性

 

となります。

 

もう少し具体的に言うと、

基準法の耐震等級1とは 震度5では重大な損壊は無く、震度7でも倒壊しない(数十年に一度程度発生する地震力で重大な損壊は無い)

 

 まだわかりにくいかもしれませんがこの考え方が基準でそれに対しての1.25倍であるとか1.5倍であるとか定められています。

耐震等級が3までしかないというのは公式に認定されるグレードが無いという意味で基準法に対してさらに強度を上げていくことは犠牲にするものがあるにせよできない話ではありません。究極はコンクリートの塊のような真四角なものになるでしょね。

 

  ただ木造の場合は耐震強度を上げていくと昔からの木造の良さであった「受けていなす」という能力は失われていきます。

 そういった意味で考えるとどこまでも強度を上げるのではなく、耐震等級も3までとして剛性ばかり追わず柔の考えも持つ設計(力をいなすということ)が必要なのだと考えています。

 

制振構造・免振構造を取り入れるときの考え方

 剛性ばかり追わずに柔、いなすことも考える..とは制振構造や免震構造という方向性になります。

 

 制振構造(制振装置)はゴム製ダンパー、油圧ダンパーやスプリングなどにより揺れを吸収し建物の損壊を防ぐことが目的でこれは柔、(力をいなす)ということになります。

 免振構造(免振装置)は空気や低摩擦の樹脂を基礎と建物の間にかませたりして建物を浮かし(摩擦を減らし)、地震力そのものを建物に伝わりにくくするという考えです。

 住宅において制振装置については評価され実際に取り入れる建物も増えてきましたが免振においてはまだコストや工法が確立されておらず普及はしていません。

 

 免振が完璧に成立してしまえばそれこそ基準法でいうところの耐震性能は必要なくなってしまいます。

 

制振構造・免振構造を取り入れるときには順序があります。

 制振構造・免振構造は、あくまで耐震性(剛で耐える力)を備えたうえでの柔の考えを取り入れるべき処置であると考えます。

先ずは筋交いなどで耐える力の強度を高めた上でさらに備えるものであると考えています。

 免振や制振構造だけに強度を託してはいけない、あくまで補助として考えることが大切です。

 

必要な強度が足りないけど制振装置を付けるから大丈夫はダメ なのです。

振装置を付けたからといって耐震等級は上がらない等級11のまま

 

ここまでまとめ

〇 耐震等級は3が最高

〇  等級に 4. 5 は無い

〇  3以上を求めるなら剛より柔の考えで制振を考える

〇 制振だけに頼るのはダメ。

 

等級取得(認定)をとる意味

 耐震等級のお話しをしてきましたので等級の意味はご理解いただけたと思いますが、等級を上げていくのは強度を上げていくことで勝手にやればいいことですがここに「認定」という言葉が加わります。

 

 等級1は建築許可を得るための最低条件なので建築確認許可があるということで等級1はクリアーしていることになります。

 

 では23はどうかというと、建築確認では評価されず、性能表示制度での認定となり、認定を受けるためには許容応力度計算などによるデータでの証明を行った上で適合審査を受け適正に評価されなければなりません。

 

・・・当社の建物はすべて耐震等級3程度です。・・・

と、なになに程度、というのは勝手ですが認定を受けていなければ公的には証明されていないことになります。

 

 ここでタイトルの耐震等級を取得するメリットというお話しにやっとつながります。

大きな地震もそうそうあるものでも無く、地震で壊れなくてよかったとはなかなか実感できませんが、大きく実感できるのは地震保険の保険料なのです。

火災保険と違い、地震保険の保険料はとても高く、地震保険加入は二の足を踏んでしまうという方のお話をよく聞きます。

 

地震保険は耐震等級の認定を受けていれば割引が適用されます。

 

〇 耐震等級2 では通常の保険料の 30%割

〇 耐震等級3 では通常の保険料の 50%割  

 

 地震保険は30坪程度で地域や保証金にもよりますが埼玉県で木造住宅は概ね4.5万円から7.5万(年間)になります。

 等級3では半分になりますから等級取得認定をとるのに費用が掛かっても長期的には大きなメリットがあります。

通常は認定にかかる費用は1015万程度なので7.8年目以降は確実に割安になります。

お金にまつわるメリットとしてそのほかでは行政によりますが、固定資産税の減免などが受けられる場合があります。 

 

 また性能表示制度の考えかたの一つですが優良なストック住宅という方針があります。

耐震等級など性能が証明され認定された優良な住宅を社会資本として永く使うということで、何かの都合で住まいを手放さなくなった時に性能認定が建物評価を上げてくれます。

 

 まとめ

〇 耐震強度を上げる意味は、地震にたいして余裕が生まれる。

〇 等級取得(認定)をとる意味は長い目で見てお金にまつわるメリットが生まれる。

 

追伸

耐震等級3程度と言ってるだけじゃダメ認定をとりましょう。

それから制振装置などは耐震を上げてからさらに付加するものと考えましょう。

 


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