足の裏に聞け無垢材の使い方  床材編  階段材編

無垢床
無垢床

無垢材の使い方

床材編

 

 全てが全て自然素材で住いをつくるにはコストや施工時間など様々な問題をクリアーしなければなりません。

完ぺきを求めるのもあるとは思いますが、「可能な範囲で少しでも良い室内環境に近づける」という考え方が大切です。

それには使う場所の優先順位を付けて使うことです。

 

 最優先は床材です。

理由は素肌が常に直接接し、寝転んだり直接座ったり、日本人は床に直接接する生活スタイルなのです。

また小さい子供をお昼寝させたり、ハイハイしたり、呼吸器にも近く一番気を付けたい場所なのです。

 

 自然素材の床材と言えば当然無垢板のことを言います。

表面にスライスした薄い板が合板の上に貼ってあるものは合板フローリングといい接着剤の塊です。

気になって調べてみると無垢板の床材とは言ってもいろいろな種類があることに気が付くと思います。

 

 また、自然素材の住まいを得意とする会社でもそれぞれ床に使う樹種が違っていたりして、一般ユーザーにとっては判断が難しいところです。

まずは無垢床材としてメジャーなところだけ抑えてみましょう。


サワラ床板
サワラ床板

無垢床種類と特徴

広葉樹系の「ナラ=オーク」

おとなしい色合いで、硬い樹種です。比較的安価、国産では北海道の物が多く出ています。

広葉樹系の「タモ=アッシュ」

おとなしい色合いで、硬い樹種です。国産材は少なくなっています。

広葉樹系の「チーク」

緻密で硬く高級フローリングです。日本にはありません。東南アジアからの輸入品です。

そのほかにはメープルやカバなどがスタンダードなところです。

 

 針葉樹系での代表格は「桧」

昔から使われてきました。節のない物を求めると高価ですが、節があるものであれ場比較的安価に入手できます。

 

 針葉樹系の「杉」

触れた瞬間の柔らかさや暖かさでは一番、しかも節を気にしなければ桧よりも安価です。

欠点は傷がつきやすいことと、比較的狂いが大きい事、「床なんて傷ついて当たり前」と割り切れる人にはおすすめです。

 

 針葉樹系の「松」

赤松や唐松があります。同じ松の中までも色合いが違いますが、地方によっては杉や桧よりも入手しやすくスタンダードな床材です。

このほかにもたくさんの床材がありますが、今回は床材の選び方に重点を置きたいのでこの辺にしておきます。


桧の床 床暖房
桧の床 床暖房

生活スタイルで選択

 

 

 選択の仕方はそれぞれです。

値段優先もあるでしょう。木目や色合いの見た目の好み優先もあります。自分の育った地域の木材だからというのも楽しい選び方だと思いますが、一番優先してほしいのは「暮らし方です」。

 

 椅子に座る、ソファーに座る生活スタイルがメインなのか、座卓や床に直接座る生活スタイルなのかです。

一般的に広葉樹は硬く、椅子の暮らしに向いています。

靴を履いて室内でも生活する国では堅い床材を使い、針葉樹の和らかい床材は使いません。堅い床材に長く座っているとお尻が痛くなります。

 

 寝転んだり昼寝をしたり直に座ることが多いのであれば柔らかな床材を優先して選ぶと快適に過ごせます。

逆に椅子生活で柔らかな桧や杉を使うと硬い椅子の足などで傷が目立ってしまいます。

 

床材の厚みや下地のつくり方で床の堅さの感じは変わるものですが、基本的な選び方は「暮らし方」優先で足の裏に聞いてみましょう。

 

 

 


桧の階段
桧の階段

床と階段はまた違う

 

 

 前回椅子生活では堅い広葉樹、寝転んだり直接床に座るのであれば柔らかな針葉樹がお勧めと説明しました。

階段はどう考えればいいでしょうか。

 

 床と階段は同じく足裏が直接接するところであるのは同じですが、大きく違うところがあり、この違いがポイントになります。

 

 なにが違うかというと、「角がある」こと。

1段1段踏み板の手前は角があり、ここに一番負担がかかり、永い時間の生活の中で素足とはいえ少しずつ少しずつ削られて角が丸くなっていきます。

古い民家やお寺などの踏み板の角が丸くなって減っているのを見たことがある方も多いと思います。

 

 丸くなると滑りやすくもなり危険ですね。

滑り止めの樹脂や金物なども市販されていますが、せっかくの無垢材であれば余計なものはつけたくありません。

 

 そのようなことを考えたときにお勧めの無垢材は「桧」です。

杉の床材の住まいでも桧の階段材は違和感なく納まります。

杉材は平面的に踏まれることには柔らかいとはいえ表面強度は十分ありますが、角が大切な踏み板では繊維方向での肌別れやササクレ、角の摩耗が起こりやすい材料です。

 

 その点では桧の方が優れています。

タモやナラなどの広葉樹の床の住まいでは桧を使うと質感として違和感があります。

広葉樹の床ではやはり広葉樹の階段材が意匠的によいでしょう。

滑り止めを施す場合は樹脂や金物では無く踏み板の手前側に2~3本程度の溝を掘ってもらいましょう。


桧の階段
桧の階段

やってはいけないウレタン塗装

 

 やってはいけないのはウレタンや表面塗膜をつくる塗装です。

ワックスを使う場合も自然素材で浸透性のタイプを使いましょう。

せっかくの無垢材の呼吸を止めてしまいうばかりか、自然の物に化学物質を塗り込むことにもなります。さらに滑りやすくなり危険も増します。

 

 施工者が特に気にすることなく滑りやすい塗装を行っているのを良く見かけます。

自然素材を使う意味を考えれば、本来行われないはずですが、施工者の皆さんが自然素材の特質を理解しているわけでは無いので、住まい手や設計者が注意しなければいけないポイントです。

 

 階段の踏み板としてはある程度厚みが必要です。

毎日毎日家族の体重が掛かり多少なりともしなりながら動いていますので、床材に比べ強度が必要です。仕上がりで36mm以上あるとしっかりとして、がたつきも出にくい階段になります。

 

 

 床が全て桧ですと香りに敏感な方では香りが強すぎるかもしれません。階段だけであれば微かに香る桧の香りがさわやかに感じられると思います。

 


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