シンプルに土壁を使いたい

 土壁とは

 漆喰がはがれてぼろぼろ・・冬寒くて冷たそう・・なんだか暗い・・

実際にも神社やお寺や旧家に見られるぐらいで現代の住いに使う素材としてイメージはわかないと思います。

 

 サスティナブルであるとか、ナチュラルな暮らしや素材を追及してくるとどうしても突き当たるのが土壁という大きな壁、これがなかなか越えたくても越えられない壁であったりします。

土壁は、もともと私たちの暮らしの近くにある身近な土を使って仕上げる壁のこと。

水、藁、土、そして人の手でつくられ、朽ちれば自然に還る極めてナチュラルな建築材料で、木・土・紙・瓦(土)・石で造られた昔の住まいは朽ちればすべて土に還るものでした。

 

  近年土壁は一般的な家づくりではほぼ見ることはできません、その理由は住まう人にもつくる人たちにも求められないからです。

なぜ敬遠されるのか、その最大の理由は時間とコスト、時間がかかるということは手間がかかるということ、手間がかかれば建築費が上がる、コスト競争の中で選ばれることの無い仕事になってしまいました。

 

 土壁を使うということは土壁が塗れるように、その下地から土壁用に作らなければなりません、それは合板や石膏ボードなど現代の家づくりの主流である工業化素材を否定することになり、これまた現代の仕事の流れや資材の流通からもずれて行きます。

 今の家づくりで当たり前のように使われるボード類、石膏ボードなどは焼却処分もできず、ごく一部が再生利用されているに過ぎない現状があります。

これらのことを考えれば土壁を使うことでよりナチュラルな住まいづくりへとつながり、土に還る環境負荷のとても小さな家づくりが可能となり、コスト(時間・手間)や断熱性がクリアーされれば住まいの素材として現実的な選択肢に入ってくると考えています。

 


土壁の性能について

「断熱性能」

 

「温まりやすく冷めにくい」「夏はひんやりと涼しい」「調湿効果がある」などという話を聞くこともありますが、本当のところ土壁にはさほど断熱性はありません。

一般的に住まいに使われるグラスウール断熱材10k100mmの1/10程度、高性能グラスウールと比較すれば1/12程度となり外壁を土壁で造れば昔のとにかく寒い家の再現でしかありません。

木材と比べてみても1/5~1/6の性能しかない、板壁の家のほうがまだ暖かいのです。

 でもいい面もあります。

 

「熱容量が大きい」=「暖まりにくいが冷めにくい」

 土は熱容量が大きく、蓄熱性能が高いのです。つまりなかなか暖まらないけれど暖まったら冷めにくい、という性質があり外気温に極端に左右されない安定した室内環境を実現してくれます。

 たとえば土でできた土鍋は暖まるには時間が掛かりますが、火を止めてもなかなか冷めません。

アルミ鍋は直ぐに暖まりますが火を止めれば直ぐに冷めてしまいます。

 

 冬の朝、暖房を付けなくても昨晩の暖かさがなんとなく残っている。

夏の夜は窓を開けて冷えた空気を窓から取り込めば土壁は涼しさを蓄えてくれます。蔵などはとにかく厚くすることで外部の温度変化に影響されない空間をつくってきました。

 また、湿気を吸収し放出してくれるという性質も過乾燥を防ぎ、過湿度を防ぐ室内環境には最適な素材です。

 


土壁中塗り仕上げ
土壁中塗り仕上げ

「質感」

 

 手仕事によるその質感は工業化製品であるビニールクロスなどとは比べるべくも無く、圧倒的な質感があります。

誰が見てもその質感の違いは明確ですが、質感の感じ方は人それぞれなので好む好まないは当然あります。

 

 新建材といわれるものはつくられた時が最も良い状態で、年月とともに劣化していきます。

ビニールクロスなどでは消臭機能を唄う商品もありますが、それが何年続くのか?

落書きしても消せる壁紙とか、何歳まで壁に落書きするのか?

吸湿機能を持たせた壁材もあるようですが土の壁とは比較になりません。

土壁や自然の素材は古びても劣化することは無く、味わいを増していくという他に代えられない質があります。

 

 そう考えてくると断熱性能さえ何とかなれば少なくとも快適さという意味では現代の家づくりでも選択肢に入ってくるということになります。

 それを踏まえ考え方としては、土壁に断熱機能は期待しない、断熱素材としては考えず、建物の外周部はきっちりと別の素材で断熱し、外部、外気に接する部分には土壁は使わない、外壁は外側に羊毛やセルロースなど土壁と近い性質の断熱素材を使い、土壁の性能をサポートしながら外気温の温度変化に対応する、土壁には室内環境を整えることに専念してもらう。

 

 内部の壁に断熱性能は必要ないので自由に使うことができ、厚みを確保してより調湿性能などを高める、また比重が大きいことを利用し遮音性能に期待することができます。

 


手間(時間)とコストの問題

 

コスト高の問題(時間と手間を考える)

 

 土壁の下地は竹小舞といいます。竹を割いて藁で編み込んで格子状にし、そこに土が引っかかるようにしていきます。

竹を割いて藁で編む、完全に手仕事です。現場ででしかできないとても時間のかかる作業です。

 

 この作業を省力化するには竹を使わずに板などを使うことで少し改善できます、大工さんができる木小舞というやり方で、ある程度加工場でつくり現場で取り付け、という方法もできます。

 肝心の左官仕事での省力化は手間を減らすこと、漆喰や高級な仕上げを望まずに荒壁仕上げや、中塗り仕上げとすることで工程(手間・時間)を減らすことができます。

中塗り仕上げは荒っぽい仕上げですが、藁が見え、土そのものの肌がワイルドで居心地の良い空間をつくります。

 

 つくり手である左官屋さんも土壁ができる職人は概ね技術が高く、仕事の意識も高い人が多いです。技術が高ければ当然その技術を表現し、提供したくなります、それは当然のことなのですが、まずは現実的な住まいの仕上げ仕事の中で使ってもらうこと、住まい手に住まいの素材として採用してもらうことが次につながると思うのです。

 蔵の修復や、文化財の保存ではなく、普通にシンプルに土壁を使い、街中に土壁の家を増やしていきたい。

工業化素材ほど手っ取り早くはないけれどそれだけの価値はあると思っています。

 

 今年は積極的に土壁のセールスマンになっていこうと考えています、そのために使いやすい土壁を職人とともに考えています。

 


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